ジャジューラ指揮ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団によるドヴォルザーク、ベートーヴェンの「2つの第9」のコンサートに行ってきました。全国19ヶ所で公演し九州では福岡と熊本の2ヶ所だけです。いまだに戦闘が続く国からの来日演奏ということで、ロビーには様々な掲示物があり、特別な雰囲気のコンサートとなりました。演奏自体はロマンティックな表現をとことん排除して、端正で力強く、しかも疾走感溢れるものでした。盛大な拍手に応えて二人の男性ソリストがウクライナの国旗を掲げて再入場した時には湧き上がるような喚声に会場が沸きました。詳しい演奏談義は別の機会にして心に残ったことを二つだけ書きたいと思います。
❶ひとつ目は冒頭にNHK熊本児童合唱団によってウクライナ国歌が斉唱されたことです。母国の言葉を丸暗記し、右手をしっかりと胸にあてて歌う子供たちの姿は大変感動的でした。私は2階の最前列席にて、ひとり起立をして聴きました。アナウンスなしでも多くの観客が立ち上がれば、子供たちの歌ととも力強い応援の気持ちを伝えられたのにと、残念に思いました。
❷二つ目は些細なことですが、コンサート実行委員長姜尚中氏のご挨拶の中で「この愚かな戦争を早く終わらせて」という表現があったことです。これは日頃よく耳にする言葉ですが、国を守るために必死で戦っている側もひっくるめて「愚かな戦争」と表現するのは問題があると思います。まして目の前の楽団員の中にはこれから戦場に赴く人もいると紹介があり、私は胸が痛みました。「力づくで国土拡大を図る愚かな国ロシア」とはっきり言うべきだったと思います。日本人として平和を語るなら、ウクライナの有り様について責任ある発言が求められているように思います。
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