おはようございます。自由民主党熊本市議団 光永邦保です。

私からは、今回改正されました地域防災計画について、いただいた資料を基に質問をしたいと思います。まずは資料1の裏面にあるイラストをご覧下さい。

この絵に避難所開設・運営の大きな考え方が表現されています。校区の学校を指定避難所の核として、これを学校と地域、そして行政の三者で運営するという考え方です。以前の複雑な縦割り組織と比較すると大変すっきりとまとめられていると思います。

改めて、この三者が果たす役割を個々にチェックしながら、相互の連携要領についても確認して参りたいと思います。

1 各区の態勢

  • Q1 地域・学校・行政の三者の連携体制について

まずは教育長にお尋ねします。

今回の震災で避難所となった小中学校におきましては、その有用性が評価された一方で、「授業再開への準備」あるいは「授業開始後の避難所運営の継続」等、様々な問題点が指摘されました。今回の改正案のように、学校施設を地域避難所の中核に据えることに学校側として問題点はありませんか。問題点ありとすればその対策や処置についてどのようにお考えでしょうか。

【教育長 答弁】

本市の「避難所開設・避難所運営マニュアル」では、災害が発生した際の一時避難場所となる学校施設においては、施設管理者である学校長が避難所開設にあたり、その後各区から派遣される職員が避難所の運営・管理を行うこととなっておりました。

しかしながら、今回の熊本地震においては、避難者も多く、区からの職員による避難所運営が困難な状況であったため、結果として教職員が長期間にわたり避難所運営にも携わることになりました。

今回の避難所の開設・運営に関する改正案は、地域団体、避難所担当職員、学校が連携して、避難所の体制を構築しておくものであり、発災当初の役割の明確化や、日頃からの避難訓練などの実施により、円滑な運営・管理が可能となるとともに、教職員の負担軽減が図られるものと思われます。

このことにより、教職員の本来の業務である子どもの安否確認や学校教育活動の再開等に取り組むことが出来ると考えております。

 

ありがとうございます。役割を明確にすることでむしろ運営の効率化が図られ負担は軽くなる、というお答えでした。たいへん安心しました。

学校によっては、先生方の関わり方もまちまちであったように聞いております。この機会に学校内における役割分担の検討も進めていただきたいと思います。続きまして、もうひとつの柱である「地域の防災力」についてお尋ねしたいと思います。

  • Q2 地域の力について

先ほどのイラストによれば「地域」というくくりで「校区自治協議会等」とあります。私はここで言う地域の力にはまだまだ課題が多いと考えております。

具体的には、「急速な少子高齢化と単身世帯の増加による地域コミュニティーの弱まり」や「地域団体の担い手不足」といったことになりますが、こうした地域の課題解決に向け、地域力向上のための体制をどのように考えておられますか。

また、同様に自主防災クラブに必要な人材の確保等、地域の防災力向上という観点からはどのような具体策をお考えでしょうか。市民局長と政策局長にお願い致します。

【市民局長 答弁】

地域力を向上するための体制についてお答え致します。

本年4月に現在のまちづくり交流室の機能、体制等を拡充強化した「まちづくりセンター」に専任の地域担当職員を配置し、職員一人ひとりが積極的に飛び込み、地域における様々な要望、相談等の一番身近な総合窓口となり、市民の皆様と課題を共有し、連携して課題の解決に取り組むことや地域のコミュニティー活動を支援するなど地域力を高めてまいりたいと考えております。

 

【政策局長 答弁】

地域の防災力向上に向けては、議員ご指摘のとおり、組織面、人材面の両面から取り組む必要があると考えております。

そこで、組織面では、各町内自治会単位での自主防災クラブの設置を促進するとともに、校区単位では校区防災連絡会を地域、行政、学校で事前に設置し、平常時での役割分担や避難所運営等の協議、定期的な防災訓練の実施などに取り組むこととしており、これを全校区に広げて参りたいと考えております。また、人材面につきましては、自主防災クラブ等に必要な人材としては、防災に関する知識はもとより、地域住民のリーダーとしての役割も求められると考えております。そこで、防災士の資格取得に対する支援を行うとともに、地域での防災訓練等の実施などに取り組む中で、地域と連携協力しながら、地域防災力向上に資する人材の育成を図って参りたいと考えております。

 

ありがとうございました。

以前の答弁にもありましたが、自主防災クラブ会長の実に8割近くが自治会長と兼務しております。ただいまはお二人の局長さんから別々の観点でお答えをいただきましたが、アプローチする対象はほぼ同じです。

私の住む地域の問題点を端的に申し上げますと、いまだに自治会が組織されていないマンション群があることです。そこにはまとめ役となる自治会長も存在しません。こうした地域の問題点が地域任せになるのではなく、行政からも積極的に関わっていただくのは大変ありがたいことです。さきほど市民局長よりご紹介がありました、「まちづくりセンター」に配置される地域担当職員の方に大いに期待したいと思います。

現在は自治会長になっていただいて自主防災クラブにつなげるやり方ですが、私は逆のやり方もあると思っています。つまり、まず自主防災クラブに入っていただき、そこから自治会へとつなげるパターンです。「自主防災は市民局の仕事ではない」と言われそうですが、目的も対象もほぼ同じであることから、そこは柔軟に対応していただければと思います。まずは地域に溶け込むことから始めて、しっかり成果を上げていただきたいと思います。

次は三つ目の柱、避難所における行政の役割と活動要領についてお尋ねします。資料によりますと地域に居住する職員及び担当課の3~4名を配置して、避難所の鍵を管理し、区役所との連絡調整にあたるとあります。

  • Q3 避難所における職員の固定的配置について

これは中核となる指定避難所ですから、実際にはその下にいくつもの避難所が連接されていると思う訳ですが、この学校避難所に担当者を固定的に配置させて大丈夫でしょうか。もっと周囲を巡回するような機動的運用は必要ないでしょうか。また長期にわたる運用を考慮した、交代の要領等についてはどのようにお考えでしょうか。政策局長お願い致します。

【政策局長 答弁】

夜間や休日に大規模な地震が発生した場合にも、迅速な避難所開設ができる体制を構築するため、地域の状況に詳しい避難所近隣に在住する職員を避難所担当として配置することとしております。

しかし、実際の災害発生時には、昼間の時間帯では当然のことながら指定避難所の職員が開設し、区役所や総合出張所等を中心に運営していくこととなる。また、避難所担当職員が開設した場合においても、長期化が見込める場合には、事前に本庁等の各課を避難所に割り当てておき、組織的に対応していくこととしております。

このようなことから、避難所担当職員に全て担わせるのではなく、マニュアルの中で誰でも担当できるようにしたいと考えております。

また、校区の中で、指定避難所のほかに、複数の避難所や車中泊等がある場合、それらの避難者情報を地域と行政が連携して収集し、区対策部に情報伝達する手法を取ることとし、このためにも、平常時から校区防災連絡会の中で、避難者情報の収集方法についても共通理解を図っておきたいと考えております。

 

ありがとうございました。

先の震災においては、避難所に配置される職員の方の入れ替わりがあまりに激しいために、なかなか運営要領が徹底されないという声が多くきかれました。固定メンバーで臨むというのは、こうしたことに対する改善案だろうと思います。私があえて周囲を巡回する機動的な運用を提案したのはその他の避難所への配慮と足で稼ぐ情報収集です。一ヶ所に張り付けるだけでなく、周辺のエリアをカバーするという考え方も導入していただきたいと思います。

いずれにしても、地域・学校・行政の三者の関係と役割を明確にしたのは大変意義あることだと思います。まずはその要素のひとつひとつが強化できるように先行的に手を打っていただきたいと思います。

  • Q4 地域・学校・行政の連携について

その上で、次の段階としてこの三者のチームワークを強めていくことになる訳ですが、こうした連携強化の具体的な方策についてはどのようにお考えでしょうか。政策局長お願いします。

【政策局長 答弁】

地域在住の避難所担当職員や新年度からまちづくりセンターに配置する校区担当職員が、平常時から校区防災連絡会の会議や避難所運営訓練等に参加することで、日頃から地域や学校と顔の見える関係づくりに努め、三者の間での相互信頼を構築し、大災害時には、地域・学校等の施設・行政三者が連携し円滑な避難所運営を行って参りりたいと思います。

 

「顔が見える関係」というのは大変良いキャッチフレーズだと思います。是非とも連携強化につながる会議や訓練を企画していただきたいと思います。

(2) 情報収集と集約について

続いて現地情報をいかに本部に集約するかについてお尋ねします。資料4の方針3と書いてある部分のイラストをご覧いただきたいと思います。

  • Q5 区役所における情報収集とその集約

このイラストによればそれぞれの避難所から自動的に現地情報が上がってくるようなイメージですが、区役所においてはどのように情報収集し、それを区役所内にどう集約をされるのでしょうか。いま考えておられる範囲でその具体的要領についてお答えいただきたいと思います。5人の区長さんがいらっしゃいますが、代表して中原東区長お願い致します。

【東区長 答弁】

災害発生時におきましては、避難者数や被災の状況、避難者の健康状態といった避難者に関することや、食糧、医療、医薬品などの生活物資に関する情報は、各避難所運営委員会が調査・収集した情報を区対策部において情報の収集・伝達等を所掌する総務班において集約し、市災害対策本部へ報告することとなります。

特にその際、様々な事情により指定避難所以外の公園や自宅の駐車場、さらには在宅等での生活を余儀なくされている方についても、避難所運営委員会を構成する地域団体等のご協力を得ながら情報の収集に努め、必要な対応等につなげていきたいと考えております。

 

ありがとうございました。

私があえて区役所における情報収集をうかがったのは、泥臭く現地の情報を収集するイメージを持っていただきたかったからです。

今回の改正案が熊本地震の教訓を活かし、と大きく謳ってあります。その姿勢は無論正しいのですが、同時に今回の震災が非常に稀な側面を持っていたことも見逃せません。たとえば火事などの二次災害がなかったこと、行方不明者がいなかったことなどです。人的被害の程度によっては自衛隊、警察、消防は丸三日間救助活動にあたります。今回の震災のように初日から自衛隊などの支援が得られたというのは稀なケースです。しかし、次にくるかも知れない災害においてその保障はありません。まずは全てのことを区役所だけで乗り切っていくイメージを持っていただきたいと思います。私は情報収集用の原付バイクや電動自転車などは常時備えて、情報収集のための訓練をすべきだろうと思います。

  • Q6 市役所における情報の集約

さて、このようにして収集され処理された情報ですが市役所の本部においてはどのように集約しますか。具体的なイメージについてお答え下さい。政策局長お願い致します。

【政策局長 答弁】

今回の熊本地震におきまして、発生当初に災害対策本部と区対策部の連携がうまくいかない部分がありましたが、各区に連絡担当職員を配置したことで、円滑に情報が流れるようになりました。

これを踏まえ、各区対策部で収集された避難所等の情報については、連絡担当職員を通して本部情報調整室で集約し、避難所への物資配送、給水車の出動、医療担当者の派遣などの対策が迅速かつ確実に行えるよう情報収集・処理体制を整えて参ります。

災害対策本部および各対策部の情報収集・伝達訓練等を行いながら、関係職員の対応力向上とより実効性のあるマニュアルへの見直しを行って参ります。

 

ありがとうございました。

私はこの情報の流れと集約要領についてはこれまでも何度も質問して参りました。ご答弁としてはいろいろ説明していただくのですが、一向に情報所のレイアウトが改良されることもなく、ほとんど変化がないというのが私の印象です。是非、よその施設を研修していただきたいと思います。県庁でも自衛隊でもどこでも結構です。

また自衛隊の情報収集能力ついては是非ともご紹介したものがあります。それはヘリコプター映像伝送装置という装備です。今回の熊本地震でも使用されましたが、発災からおよそ一ヶ月間、24時間体制で被災地の空からの映像をリアルタイムで防衛省や首相官邸に送り続けてます。装備は以前からありましたが、こんな使い方は初めてのことです。

もちろん、この映像は調整すれば市役所でも見ることができます。被災場所の概要やグラウンドに駐車する車の数をカウントすることも可能かも知れません。こうした情報を活かすためにも情報室の整備をお願いしたいと思います。

(3) 物資供給体制について

  • Q7 物資集積センター等のイメージ

次は、物資供給体制についてお尋ねします。

資料3右下にある「物資供給体制イメージ図」をご覧ください。ここにある物資集積センターと備蓄センターとはどのようなイメージでしょうか。具体的な施設を例に挙げて説明して下さい。

【政策局長 答弁】

防災備蓄センターについては、小中学校等の指定避難所に設置してある分散備蓄倉庫、公園や公立公民館に設置してある防災倉庫、備蓄倉庫を補完するもので、飲料水・非常食・毛布、生活必需品のほか、大型の資機材等を備蓄しておくものでございます。

物資集積センターは、支援物資や購入物資を集積する施設で、災害時は、備蓄センターはこの機能も兼ねることになりますし、大規模災害時には備蓄品を避難所等に配送する役割も担うことから、パレット等も置くことができ、フォークリフト等も活用できるスペースが必要と考えております。

いずれの場合も、市の既存施設の活用を基本に考えておりますが、大規模災害発生時など、場合によりましては県の施設や民間倉庫等を活用することも検討する必要があると考えております。

 

ありがとうございました。施設の配置状況なのか物の流れなのか、資料の中では、このイメージ図が一番わかりにくいように思いますが、ただいまの説明でやっと具体的にイメージできました。

  • Q8 集積センターの公開・非公開について

前回の一般質問において、私はこうした物資集積センターを公開とするのか、あるいは非公開とするのかの是非について質問をいたしました。その時のご答弁は「メリット、デメリット双方あるので、調査検討する」という内容でしたが、その結果を教えて下さい。

【政策局長 答弁】

まだ決定ではございませんが、施設を公開している場合、膨大な物資が配送され、集積センターに混乱が生じ、結果的に避難者への配送が遅れることも想定されることから、「非公開」での対応を検討しております。

 

ありがとうございました。私も全く同感です。是非ともその方向で進めていただきたいと思います。ただ一点だけ要望があります。非公開にすることによって「支援物資の流れを統制する機能」が必要になってきます。これはこれでまた大変なことですので、是非ともご検討いただきたいと思います。

2 市役所中枢の態勢

  • Q9 市役所における参集訓練について

続きまして、市役所の中枢部分の態勢について質問致します。お手元には資料を用意しておりますが、本年1月に実施した安否確認・職員参集訓練の成果について教えて下さい。政策局長お願いします。

【政策局長 答弁】

本年1月17日の早朝に実施した大規模災害職員参集訓練および安否確認訓練については、大規模災害時への職員の意識向上、連絡体制の強化及び実践性の確保を図るため、実施日を職員に全く周知することなく、抜き打ちで実施したものでございます。

訓練想定は、午前6時に震度6強の地震が発生したとの想定で、安否確認は消防局、市民病院を除く、全職員を対象として、また、職員参集訓練は管理職の職員を対象として実施致しました。

その結果、発災の1時間後の午前7時と、1時間50分後の7時50分に、安否確認状況及び職員参集状況を集計したところであるが、安否確認状況については、7時の時点で58.8%、7時50分では96.1%であり、また職員参集状況については、7時で37.5%であり、7時50分で91.7%でした。

前年度は、1週間内に行うことを事前に設置して実施しており、その結果と比較すると、7時50分の時点で安否確認は4ポイントの低下、また職員参集状況も7ポイントほどを低下致しました。

その主な要因といたしましては、抜き打ちの訓練であったため、電話に気づくのが遅れたことや交通手段等を事前に備えてなかったため登庁が遅れた等があげられます。

この訓練結果につきましては、庁議で課題の検証を行い、職員への周知も行ったところであり、今後も、より実践的な訓練として、実施日を事前周知しないブラインド方式の職員訓練を実施し、職員の対応能力の向上を図って参りたいと考えております。

 

資料には昨年、一昨年の成果がありますので、比べてみますと明らかに3年連続して数字が悪くなってます。特に今回の数字が低調だったわけですが、その原因を分析した結果が「抜き打ち訓練だったから」というご答弁でした。私は「本当にこれでいいんですか!」と叫びたくなるような強い思いに駆られます。三点申し上げます。

まず一つ目に、「なぜこうなったのか、誰が悪いのか」といった原因究明が甘いということです。私だったら各局各課毎に集計をして傾向をまとめ、その次に通勤距離に応じてまとめなおし、誰が遅いかを明らかにします。

そして二つ目に申し上げたいのは、この訓練そのものの目標設定が無いということです。スポーツであればチームの弱点を明らかにして、どこまで鍛えればいいのかを教え、やらせて強くすると思います。努力する方向を示さなければ人は頑張りません。

そして三つ目ですが、全員を訓練するという執念が感じられません。安否確認訓練には5,000名を超える人が参加していますが、参集訓練は課長クラス以上のわずか360名です。伺ってみると「業務命令」で行っているのでその他の方に残業手当が発生するそうです。だから課長以上はやるけども、それ以外の人はやらない。あの前震の時に、10時間経過してわずか三分の一しか出勤しない組織を訓練するために、更に税金を投入しなければならないとしたら、私もためらってしまいます。ひとつの案ですが、いっそ業務命令なしの自由参加にしてはどうかと思います。部署毎の自由意志の参加率を公表するだけでも効果があるように思いますので是非検討して下さい。

  • Q9更問 SNSの活用状況について

続いて、総務局長にお尋ねします。前回の一般質問で「SNSが有効な確認方法のひとつであるということがわかった」とお答えになっていましたが今回の参集訓練ではどの程度SNSが利用されたのでしょうか。

【総務局長 答弁】

今回の大規模災害訓練における連絡手段については各部署で電話連絡網がすでに整っていることもあり、電話の利用が約9割、SNSの利用については約7%に留まり、利用状況としては、決して多くはなかった。

4月の熊本地震において、SNSを活用した部署からは、スムーズな安否確認ができたとの報告があったことから、総務局において、独自に安否・参集訓練を実施し、改めてその有効性等について検証を行ったところでございます。

具体的には、連絡事項を一斉送信するため伝達時間を短縮できること、受け取った職員の対応についてグループ全員が確認するができるとともに、正確な時刻と記録が残るなど、その迅速性や正確性などに利点があるとわかったところでございます。

このようなことから、今後は、全庁的にSNS活用を広げていくため、防災訓練での試行等を行い、更に有効性や課題について、検討して参ります。

 

総務局で独自に訓練を行っていただいたことには敬意を表します。しかし、地震から5ヶ月たった昨年9月の議会で「SNSの有効性がわかった」とご答弁があり、更にそれから6ヶ月かけて局内で検証して、これから全庁的に広げていく、というのはあまりにもテンポが遅いと思います。SNSの利用率がいまだに7%という数字も信じ難いことです。もっとスピード感をもって取り組んでいただきたいと思います。

更に申し上げますと、安否確認と電話連絡は別ものです。安否すなわち生存を確かめる訳ですから、メールの返信が一向に来ない、というのは相手に何か起きてる可能性があります。すぐに携帯に電話する、自宅の電話にかける、それでも反応が無ければ近くの人に連絡をして確認に行ってもらう必要があります。わざとそういう状況を作り出してやってみるのも良い訓練になります。

参集訓練と異なり、安否確認は毎月でも毎週でもできる訓練です。一日も早く熊本市役所のやり方を確立していただきたいと思います。

  • Q10 来年度訓練の予定について

さて、計画の改正の次には、いよいよ訓練によってその実効性を検証する段階に入ります。資料6にはいろいろな防災訓練の案が挙げられておりますが、ブラインド型を含め来年度はどのような訓練が予定されていますか。政策局長お願いします。

【政策局長 答弁】

ブラインド型訓練につきましては、去る1月17日に実施した大規模災害職員参集訓練のように、実施日を事前に知らせない、いわゆる実施日をブラインドにする訓練の他、災害対策本部等の初動対応及び関係機関と連携した応急対策の図上訓練におきまして、状況付与をブラインドにして実施することも有効であると考える。

そこで、平成29年度の防災訓練計画においても、ブラインド型訓練を積極的に取り入れ、実効性のある訓練を実施し、職員の対応能力の向上を図って参る所存でございます。

また、校区単位での市民総参加型の地域、学校、行政及び関係団体が連携した住民参加型の訓練を校区単位で実施することとしておりまして、地域在住の避難所担当職員も訓練に参加し地域との連携を深めることとしております。

訓練に向けては、事業の初年度でもあることから、区役所と危機管理防災総室が連携して、避難訓練等の実施希望がある校区自治協議会等を対象に、現在、各区で訓練にモデル校区の選定を進めているところでざいます。

今後校区単位での防災連絡会の設置を進めるとともに、どこの校区にとっても参考になるように、訓練事例を盛り込んだ防災訓練マニュアルの整備も行い、毎年、4月を中心として、地震避難訓練が全ての校区において実施されるよう努めてまいる所存でございます。

 

一般的にはブラインド型というのは実施日を知らせないことではなく、一連の訓練の中で付与する状況を知らせない訓練を指します。市長以下主要な関係者が参加し、厳しい状況下にどう判断すべきかを徹底的に鍛える訓練です。是非、来年度はこの訓練を実施していただきたいと思います。私も状況付与計画のお手伝いをしたいと思います。

  • Q11 市役所内における危機管理組織の役割について

続いて市役所内の危機管理組織の役割についてお尋ねします。私は行政機関の中枢にある危機管理組織は、何もない平時にあっても常に非常事態を念頭において準備を進め、ひとたび災害が発生したらそのプロ意識をもって強力なリーダーシップを発揮すべきと考えております。現状ではそれが感じられません。大西市長は危機管理組織が果たすべき役割についてどのようにお考えでしょうか。そのご認識をお聞かせ下さい。

【市長 答弁】

熊本地震への対応の課題として、発災後の初動期において災害対策本部の情報管理の中枢というべき、危機管理防災部署が十分機能しなかったところがございました。

この要因といたしましては、危機管理防災総室が3階、情報調整室が4階、指揮室が5階と3フロアに分かれておりまして、情報共有面で支障があったということもあげられますが、災害発生の後、全ての職員が、事前に定めていた災害発生時の組織や役割について認識していなかったこと、さらには危機管理部署がリーダーシップを発揮できなかったことも一因であると考えております。

熊本地震対応の検証を踏まえ、有事体制について必要な見直しを行うこととしておりまして、最適な組織体制に改めるとともに、他の団体主催の研修や訓練等への積極的参加など危機管理担当職員の災害対応力向上を図り、災害対応のリーダーとしての意識付けや資質向上に努めて参りたいと考えております。

 

ありがとうございました。

他の自治体の防災室がどのように運用されているかは是非とも研修していただきたいと思います。私が申し上げたいのは複数のフロアにまたがっているといったハードの部分ではなく、そこで勤務する危機管理担当者の強烈な統制力と責任感といった問題です。非常時において力を発揮すべき組織が逆に平時の組織に飲み込まれているような気がします。

アメリカにはFEMAという緊急事態に対応するための専門チームがあります。災害などが発生すると現場に派遣される強力な指導力を持ったチームです。市役所における危機管理担当者も同じようなプロ集団でなければなりません。是非とも「防災の鬼」と呼ばれるような組織になっていただきたいです。

3 災害に強いまちづくり

  • Q12 WiFi局、タブレット端末の整備について

次は、災害に強いまちづくりという観点からお尋ねします。災害情報の発信のため少なくとも避難場所となる学校やコミュニティーセンターへのWiFi局の整備やタブレット端末が必要ではないかと思います。これらは一般質問でもたびたび出ておりましたが、特に防災の観点から今後の整備の可能性について教えて下さい。

【政策局長 答弁】

WiFi局の環境の整備についてでございますが、これまで国の補助金を利用し、「防災ステーション整備事業」として、平成26年度に防災拠点7ヶ所に整備しておりまして、また、今回の熊本地震では、携帯大手3社において、小中学校など全ての避難所に4月15日から、公衆無線LANを設置・開放いただき、避難所の皆様に利用いただいたところでございます。

今回の熊本地震において、災害時のWiFi環境の重要性が立証されたところであり、災害発生の際に迅速に対応できるように、無線LANの関係事業者の災害時協定等も検討して参る所存です。

もとより、今日の高度情報化社会においてWiFi環境は、電気やガスと同様、重要な社会インフラとして積極的に整備を進めていく必要があると考えておりまして、関係部門と連携しながら取り組んで参ります。

 

ありがとうございます。

WiFi環境の重要性については私も全く同感です。私の校区内にはタブレット端末をコミュニティーづくりの補助金で購入したところもあります。大変有難いことだと思います。

環境作りはもとより、いろいろな側面から高度情報化社会に対応できるように支援していただきたいと思います。

  • Q13 小学校トイレの洋式化について

次に学校のトイレについてお尋ねします。学校の避難所において高齢者や小さい子供さんから和式トイレを洋式に代えて欲しいという要望がありました。現在どのような取り組みがなされているのか教えて下さい。教育長お願いします。

【教育長 答弁】

小中学校のトイレの洋式化につきましては、平成12年度から3ヶ年で集中的に改修を行い、校舎内のトイレ1ヶ所につき1台以上の洋式トイレを設置して参りました。

既設トイレの洋式化につきましては、和式トイレと比べ設置スペースの確保を要することから、大規模な改修が必要であり、現状においては、校舎等の大規模改修や増築等を行う際に洋式トイレを中心に設置して参る考えております。

また、災害時における避難所の機能確保の観点からも重要である多目的トイレにつきましては、平成29年度5校に整備することとしておりまして、今後、多目的トイレの整備も含めまして、トイレの洋式間につきましては、学校施設長寿命化計画に合わせて検討して参ります。

 

ありがとうございます。

現状がとてもよくわかりました。やはり多目的トイレが最優先になると思いますが、学校施設「長寿命化」計画の中で着実に整備を進めていただきたく思います。

4 その他

  • Q14 計画見直しの要領

さて、いろいろな観点から計画の改正部分を中心に質問をして参りました。これから訓練や意見交換を通じて更に様々な改正点が出て来る可能性があると思います。これからの計画見直しの要領について教えて下さい。政策局長お願いします。

【政策局長 答弁】

今回の地域防災計画の見直しは熊本地震を踏まえて全面的な改定を行いますが、その後においても、1年ごとに計画の必要な見直しを行っていくこととしております。

また、関連するマニュアルや計画についても、訓練等を通じて実際的に機能するか確認を行いながら、その都度、必要な見直しを行って参ります。

 

ありがとうございます。

訓練のやり方につきましてはもう何度も言及して参りましたが、狙いがしっかりした実践を通じて初めて計画に魂が入っていきます。状況図や避難所の現況板など、これはと思うひな形ができあがったら、どんどん計画の中に取り込んでいただきたいと思います。

  • Q15 議会と執行部の在り方について

最後に大規模震災等非常時における議会と執行部の在り方について大西市長にお尋ねします。私は基本的には市民の生命財産を守り、あるいは急速な復旧活動を推進するためには市長が大局を判断して決断し、遅滞なく市政を進めるべきと考えております。しかし、その一方で、震災後に大きな影響を与えるような事業の変更、例えば市民病院の移転のような、あるいは被災者を支援するための大きな考え方については議会と十分連携を図る必要があったのではないかと思います。この非常時における議会と執行部の在り方について、大西市長のお考えをお聞かせ下さい。

【市長 答弁】

災害時における議会と執行部の在り方についてお答えいたします。

私としては、発災直後には、市民の生命、身体、財産を守ることを最優先に、避難所開設やライフラインの回復、さらには、都市基盤の復旧など、被災者支援や応急対策業務に努めて参ったところでございます。

議員各位におかれましても、避難所の運営や、その環境対策、仮設住宅やみなし仮設の整備など、様々な局面において、地域の課題を吸い上げ、あるいは、地域の取りまとめ役として、我々執行部と両輪で、被災者支援や応急対策に当たってこられたものと認識しております。

その後、時を置かず昨年6月には本会議を設置いただき、被災者の方の生活再建をはじめ、地域経済の回復や文化財の復旧など、将来の熊本市を見据えた幅広いご議論をいただいたところでございます。

それらを踏まえ、震災復興計画案をとりまとめ、昨年10月の臨時議会におきまして議決をいただき、いま、着実にその歩みを進めているところでございます。

また議会におかれましては、発災時の対応として、あらたに、熊本市議会災害対策会議を設置し、市災害対策本部との情報共有体制を構築するとともに、議会内部における体制強化を図られてこととされていると伺い、心強く感じているところでございます。

熊本地震から、まもなく1年が経過しようとする今、改めて、発災からの過程を振り返り、課題を整理する中で、市議会との連携をさらに深めるとともに、災害時に適切で迅速な対応ができるように努めて参りたいと考えております。

 

ありがとうございました。

私はこの度の震災において、大西市長が常に先頭に立ち先行的に指示を与えながら、この難局を乗り切って来られたことに深い敬意を表するものであります。その上で、やがて一年になろうとする今、震災対応を改めて振り返り、非常時における執行部と議会の連携について考えてみることは重要なことであろうと思います。もちろん私自身に成案がある訳ではありませんが、重要な案件については、たとえ短い時間でも、あるいは夜間でも、説明や審議をする場面があっても良かったかと思います。ひとつの課題としてご検討いただければ有り難く思います。

今回は防災計画と合わせて、熊本市財政の中期見通しについても明らかにしていただきました。質問の通告にこそ間に合いませんでしたが、その内容を大変重く受け止めております。まさに熊本市はむこう30年間、背水の陣で臨まなければなりません。こちらの議論はまた次の機会にさせていただきます。

本日は、ありがとうございました。終わります。

(以上)