夕方の地元ニュースでは各局一斉に緒方議員のことが報じられました。議会中に連絡を受けて控え室で授乳をする様子や、閉会後に議長から直接「厳重注意」を受ける場面などが丁寧に放映されていました。私が「あれ?」と気になったのは複数の局が「事前に授乳のために中座することを文書で議長に申し出たために実現」という説明があったことです。まるで彼女の努力で初めて女性議員に授乳の道が開かれたように受け止められそうです。

これは間違っています。

実は議員は委員会中でも、議会中であっても、生理現象等で席を離れることが許されています。いちいち理由を求められることはなく事前の申し出も必要ありません。

あえて全体を整理して説明すれば、一人会派の議員には十分な広さの個室があり、議会で拘束される時間は一日でせいぜい3時間から4時間で、しかもその時間中でも自由な退席が認められており、なおかつ月額674,000円もの歳費が与えられています。分かりやすく言えば「時間」も「空間」も「経済的基盤」も、女性が働く職場としてはトップクラスの環境にあるということです。その環境の中で十分にできることを、わざわざ「マスコミを通して」あるいは「マスコミ自ら」が彼女の功績として報じるところに違和感を持っています。「子育てに関わる女性の悲痛な叫び」を自分の環境で代弁するところに無理があり、個人と社会の問題を峻別できていない最大の問題点がここにあります。彼女を支持する女性団体は「女性議員の子育てのために補助金を!保育所を!」と訴えています。みなさんはどのように受け止められますか?多くの人に考えていただき問題だと思います。もっともっと多様な意見が交わされるべきでしょう。